10月1日より15日まで、神戸のプロペラスタジオさんによる “Hütte Paper Works”ミニフェアにあわせて、会期中の週末限定でプロペラスタジオさんご紹介の、Trabajo(トラバホ) 廣野さんによる洋菓子をご紹介させて頂きます。
Trabajo(トラバホ) 廣野さんは兵庫県で活躍されているパティシエさん。
廣野さんの洋菓子は優しい口溶けとちょうどよい甘さ。
心から美味しいと感じられる幸せなフランス菓子を紹介されています。
今回、会期中の週末限定でTrabajoさんの洋菓子の予約販売を承ります。
〈お菓子のご紹介〉
(A) 10月4日(金曜日〉から 6日(日曜日)の3日間限定のお渡し
ヴィエノア Mサイズ:1800円
サクサクっとした軽い噛みごたえながら、甘みが口いっぱいに広がります。小さなサイズなので、お子さまやご年配の方にも食べやすいサイズなので贈り物にいかがでしょうか。
・サイズ:15×8×高さ2.5cmのボックス
・賞味期限:お渡し日より常温保存で約10日間
(B) 10月12日(土曜日)13日(日曜日)の2日間限定のお渡し
※季節が進み涼しくなりましたので、受取日を2日間に変更させていただきます。
ガトーウィークエンド ホール:2000円
こちらはレモンのグラスをかける前のお写真。Trabajoさんの定番のお菓子で、程よい酸味に包まれた柔らかい生地の美味しさが魅力です。
・サイズ:13×8.5×高さ7cmのドロワ型
・賞味期限:お渡し日より冷蔵保存で約4日間
季節の果物のカトルカール ホール:2400円
バターをふんだんにあしらい、季節の果物のコンポートがごろごろとあしらわれた、満足度の高い濃厚なカトルカール。フランス菓子の醍醐味を味わえます。
・サイズ:18×6×高さ7cmのパウンド型
・賞味期限:お渡し日より冷蔵保存で約4日間
商品のお渡し:アンフェール 店頭にて
※予約日当日の12時から20時までの間に、ご来店いただきましてレジカウンターにて、お名前と予約内容をお伝え下さい。
ご予約を希望の方はこちらまで:mail
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メールタイトル:『Trabajo(トラバホ)さんのお菓子予約』とお願いします。
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メール本文に、必ず下記内容をご記入くださいませ。
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(1)お名前(フリガナ):
(2)ご連絡先電話番号:
(3)メールアドレス:
(4)ご希望の商品と数量:
〇ヴィエノア Mサイズ(1800円)× 点
〇ガトー・ウィークエンド(2000円)× 点
〇季節の果物のカトルカール(2400円)× 点
(5)お受け取り日時:
…お菓子の種類により受取日が異なります。
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※予約受付期間は、9/20(金)~9/27(金)までとさせていただきます。メール送信より3日経過しても当方からの返事がない場合は、お手数ですが再度ご連絡をお願いいたします。当方からの返事を以て、ご予約完了となります。
※一つ一つ手作りのため、数に限りがございます。限定数に達し次第予約終了となりますため、ご希望の際は早めにお申し込みくださいませ。
※ご注文後のキャンセルは承る事が出来かねます。
※店頭、もしくはお電話でご予約を希望の方は「Trabajo(トラバホ)さんのお菓子の予約希望」とお伝えくださいませ。 お電話はこちら:075-711-5919
自分へのご褒美に、また大切な方へのお土産に、幸せな気持ちになれる贈り物としてお薦めです。
この機会にぜひご賞味くださいませ。
(星山)
ボタニカルな線画を基調とした趣のある植物画の紙小物のシリーズ ”Hütte Paper Works” 神戸の海岸通りにある、プロペラスタジオさんで企画・制作されています。
カレンダーを長く取り扱いさせていただいており、活版印刷で丁寧に作られている人気の商品で、いつも早々に売り切れてしまうほど。
こだわりの上質紙にエンボスされた印刷の面白さがあり、小さめのサイズもあえて主張しすぎず、上品な佇まいです。
10月1日より15日まで、アンフェールの一角にて通常取り扱いをさせていただいていない、同シリーズの紙の作品を多数ご覧いただるミニフェアを開催。
植物画のカード類は、ちょっとしたことづてや贈り物に添えて。レターセットも上品で凝ったお作り。
マスキングテープや包装紙など、ラッピング用品も今回お届け頂きました。トレーシングペーパーの包装紙はとても上品で素敵です。何を包もうか想像するもの楽しくなるデザイン。
今回特別に、神戸のパティシエTrabajo(トラバホ) 廣野さんの焼き菓子も、期間中の週末限定で、販売させて頂く事になりました。
神戸から海風にのってお届けいただく素敵な植物画の紙製品と、滋味あふれる美味しい焼き菓子をお求め頂ける特別な期間。是非足をお運びくださいませ。
日時:2019/10/1(火) -10/15(火) 10:00-21:00
会場:恵文社一乗寺店 アンフェール/ミニフェア
プロペラスタジオの直営店”Hütte”の
買付けで訪れたスウェーデンで出会った
瑞々しい植物のテキスタイルに魅せられ
私達なりの植物画を模索してできたのが
Botanical garden シリーズの紙アイテムです。
古い植物画の風合いも残しながら、
花の清々しさを繊細なタッチや色使いで
表現する事を心掛けています。
中でも10数年続いて制作している
レタープレスカレンダーやポストカードは
季節折々の植物をお楽しみ頂けるベストセラーアイテムです。
今回はグラシンラッピングペーパーや
活版印刷で仕上げたレターセットなど
新アイテムを中心にお持ちいたします。
(星山)
ギャラリーアンフェール店内の一角でスタートしたミニフェア、まんまる◯「紙と本をたのしむ秋」。初日からご好評いただいています。
まんまる◯さんは、東京・荒川区に小さな活版工房を構え、ご夫婦で活版デザインの楽しい本や雑貨を丹精込めて制作されています。大きな荷物ではるばる搬入に来てくださいました。
今回のフェアに間に合うように制作された新作も含め、机に乗り切らないほどたくさんの種類が並びます。オリジナル商品はもちろん、作家さんとのコラボレーションも数多く手がけられているまんまる◯さん。今回は特別に作家さんの原画作品や、版も展示用にご用意いただき、とても賑やかなフェアになりました。
こちらは「銀河鉄道の夜 カードブック」。活版印刷と聞いて、いつも私が一番に思い出すのは「銀河鉄道の夜」でした。ジョバンニが学校帰りに働く活版所。少し淋しげで薄暗くて、でも“歌うように読んだり数えたりしながらたくさん働いておりました”という一節がやけに印象に残る、とても好きなシーンのひとつ。今回、銀河鉄道の夜を題材にしたカードが届くと聞いた時は心が踊りました。
夜の雲のような柔らかく少し重みのある黒いカード。数多ある星のように本の中できらめく言葉を拾い上げて、銀河鉄道の夜の世界がそれはそれは美しいカードになりました。
こちらは星めぐりの歌のカード。ジョバンニのように“拾った活字をいっぱいに入れた平たい箱”も一緒に展示されています。
こちらは、夜空で星座を探すように、寄せては返す波のように、思い思いに記憶や思いを綴るという素敵なコンセプトでつくられた美しいノート「星綴帳」と「海潜帳」。
そしてこちらは、ノートの切れ端でつくられたアクセサリー「星綴帳のかけら」。アクセサリー作家po0olさんとのコラボレーション。一つ一つ形が違う紙のかけらのパーツが使われていて選ぶのも楽しいアクセサリーです。
銀河鉄道の夜や月の満ち欠けをモチーフに手動活版印刷機で印刷された「煌めき星カード」や「月の満ち欠けコースター」。
活版印刷のカードはいろんな種類をご用意いただきました。贈り物に添えたり、久しぶりに手紙をしたためてみたり、贈られた人もきっと笑顔になってくれる素敵なカードが揃います。この機会にぜひご覧ください。
フェアの片隅には手書きで綴られた大きな案内パネル。読んでいるとまんまる◯さんのこだわりが垣間見れます。質感も表情もさまざまな紙の上に色づく活版印刷。一つ一つの工程に手間暇をたっぷりかけてできあがる印刷物は、愛らしく、そっと手から伝わる感覚がとても心地よい。フェアに並ぶ一つ一つがより愛おしくなってきます。
「紙と本をたのしむ秋」と名付けられたとおり、静かで長い秋の夜、ゆったりした時間を共に過ごしたい紙ものが揃いました。ご来場をこころよりお待ちしております。
(今回コラボレーションでご参加いただいた作家さんのご紹介はこちら!)
まんまる◯「紙と本をたのしむ秋」フェア
開催期間:2019年9月16日(月)-30日(月)
開催場所:ギャラリーアンフェール店内
(上田)
書籍フロアでは、写真家、真鍋奈央さんの作品集『波を綴る』の刊行を記念した小さな写真展を開催中です。
18歳の時に初めて留学し、以来数年越しにくり返し訪れてきた、オアフ、マウイ、モロカイ、ビッグ・アイランドの4つのハワイの島々。本作は、それぞれの島の風景と繰り返される住み暮らす人々との十年来に及ぶ交流を、時系列ではなくその島ごとの写真群として4冊の冊子として構成し、それらを1冊の本としてまとめ上げた美しい一冊です。
通っていた高校の恩師とその母や弟、その恋人、亡くなった友人の家族、人違いから付き合いが始まった一家、空港で偶然出会った老紳士や助けを借りた道行きの自動車整備店のオーナーなど、繋がりの中にある人々との交流や予期せぬ出会い、日系移民の子どもたちが辿ってきた体験や島に連綿と続く神事などの歴史的な側面、それらすべてを包むようなハワイ諸島の豊かな風と光あふれる風土。日本とのあいだをくり返し往還ながら、あくまで私的なパースからハワイの島々を描き出した写真群。
島の豊かさを感じさせる一葉ごとの美しさもさることながら、巻末に付された写真家自身によるキャプションが、被写体と写真家との間に存在するプライヴェートな愛着や安心に満ちた関係性、そこに流れた親密な時間を感じさせます。
飯沢耕太郎氏や写真家の有元伸也さんらが選考委員を務める、奈良の入江泰吉記念奈良市写真美術館主催の写真賞を受賞し、一冊の本として世に出ることとなった本作。糸綴じした4冊の冊子を重ね貼りつけ1冊にした大胆な造本を、白地にオーシャンブルーの題字をプリントした函で包んだ美しいブックデザインは松本久木さん。
今回の展示では、本書に収められた写真より4点の作品のオリジナルプリントを展示。観光では出会うことのないパーソナルな手触りのハワイの空気を感じていただけるのではないかと思います。
そのオリジナル作品を入り口に、新たな写真家の記念すべきデビュー作をぜひ店頭で手にとってご覧ください。
■『波を綴る』真鍋奈央 (入江泰吉記念奈良市写真美術館)
真鍋奈央写真集『波を綴る』オリジナルプリント展
2019年9月1日 – 9月23日
恵文社一乗寺店 書籍フロア 壁面一角にて
(涌上)
日時:2019/9/1(日) -9/15(日) 10:00-21:00
会場:恵文社一乗寺店 ギャラリーアンフェール/ミニフェアコーナー
(星山)
「食」を通して、なんでもない日々を見直す小さな雑誌『大人ごはん』。
第3号の刊行を記念し、現在書籍フロアにてブックフェアを開催しています。今号の特集は「ひとりの時間を考える」「小豆島で農村歌舞伎を観てきました」の二本立て。
「日々の暮らしは、盛んに報道されるセンセーショナルな事件、ドラマチックな愛憎劇、大文字の政治経済、美しくおしゃれに整えられた暮しとは程遠く、もっと雑多で、淡々としたものの積み重ねでできています」(巻頭のことばより)
そう語る編集長・室谷明津子の気の向くまま足の向くままに出会った、なんでもない日々を暮らす人々への取材、エッセイを収録した一冊。
第一特集「ひとりの時間を考える」では、植本一子、ツレヅレハナコ、高橋順子によるそれぞれの「ひとりでの食事で見えてくるもの」を紹介。パートナーを亡くしたあとのごはんの時間、或いは日々の密かな楽しみであるひとり晩酌の時間…。ひとりの時間は孤独である、という凝固したイメージにとらわれることなく、ありのままに時間と向き合う大切さや底知れない愉しさについて語ります。お酒に合う絶品おつまみレシピの紹介も。
第二特集は「小豆島で農村歌舞伎を観てきました」。小豆島で暮らす島人たちの、島人たちによる、江戸時代より続いている娯楽「農村歌舞伎」と、賄い・おもてなしの「わりごう弁当」について。舞台の裏側や村の暮らしを見つめ、文化とコミュニティの関わりについて考えます。
また、ラテンアメリカ文学者の旦敬介と門内ユキエ夫妻によるアフロ・ブラジル料理について追求した「何食べて生きてく?」のコーナーや、『メタモルフォーゼの縁側』作者の鶴谷香央理による漫画エッセイ「元気が出るもの」などなど、淡々と流れゆく日々にそっと寄り添ってくれるおいしい小咄をたっぷりと詰め込んだ一冊です。
読み進めていくうちにきっと、味わい深いお酒と肴を求め、自然と台所へ足が向かうはず。
また今回の『大人ごはん』第3号の刊行に併せ、ひとりの時間にじっくりと向き合ってくれるレシピを収録した書籍なども同時展開。ご来店の際に、ぜひお楽しみください。
『大人ごはん』vol.3 刊行記念ブックフェア
2019年7月16日 – 8月31日
恵文社一乗寺店 書籍フロアにて
(韓)
アンフェール内のフェアスペースにて、鎌倉で手芸洋品店・木木を営む蒔田良美さんの新刊「ラフィアのハンドワーク」フェアがはじまりました。
「ラフィアのハンドワーク」刊行記念フェア
7月1日(月)- 7月15日(月)
10時 – 21時
恵文社一乗寺店 アンフェール内フェアスペース
蒔田さんが出会った、千葉県香取市の工芸品・佐原ラフィア。美しく染められた色とりどりのラフィアを使って、簡単なかぎ針編みと刺繍のテクニックで、アクセサリーや小物入れに仕立てます。
フェアでは、表紙を飾った「ひまわりのクロス」をはじめ、書籍の掲載作品を中心に、応用作品などを展示します。作品の立体感や、ラフィアの美しい色合いなどを直接ご覧いただくことができます。
また、鳥の形の小物入れ「バードポケット」やブローチ、作品作りにお使い頂ける佐原ラフィアの糸セットや、刺繍針・かぎ針などの販売も。
書籍では、ラフィアの扱い方や材料・道具選びも含め、丁寧な解説付きで、はじめての方でも気軽にラフィア手芸に触れられます。ラフィアのアクセサリーは夏の装いにもぴったり。新しい手仕事に触れてみたい方も、かぎ針編み好きの方にも、夏の手作りのアイディアを見つけに、ぜひお越しくださいませ。
書籍と「ラフィアの糸セット」、「リボン刺繍針」はオンラインショップでもご紹介しています。
アンフェールフロアの壁面一角では、今年4月にグラフィック社より刊行された『マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス』出版記念のマッチ箱展を開催中です。
兵庫県神戸市の地場産業として、高度成長期には日本全国あらゆる業種で作られたマッチ。ふとした折に胸の内ポケットから取り出される、お店の屋号や看板メニュー、外観や内装の意匠、土地の歴史や風物を反映したデザインを施された、小平型や寸二、寸四型など種々のサイズの小さな箱。喫茶店やレストラン、ボウリング場やタクシーなど喫煙可能な場所が今よりも格段に多く、インターネット到来以前でもあった当時、実用品として持ち歩かれる電話番号を印字したオリジナルのマッチは、お店や企業にとって最も効果的な広告、宣伝媒体として機能していました。
本書は、そんな時代の空気を詰め込んだ文化遺産としてのマッチとそのデザインを、業種やカラー、モチーフ別に紹介するカタログのようなビジュアル・ブック。現在は閉店してしまったお店や、時代の変化により衰退した産業、技術革新により変化し失われてしまった習慣や懐かしい文化を思い起こさせるメディアとしてのマッチ箱と出会うことの楽しみを伝えます。何より、店ごとの個性やこだわりがイラストやデザインの意匠として凝縮された手のひらサイズの箱は、小さきものを愛でる感性を心地よく刺激してくれます。
開催中のマッチ箱展では、本書の著者、小野隆弘さんが実際に蒐集してきたコレクションから、モノトーン、ブルー、グリーン、ピンクやイエローなどカラー別に集められたマッチを収めた木枠のクリアパネルを展示しています。色別に集められたページは書籍にもありますが、実際にひと所にまとめられたマッチ箱とそのバリエーション豊かな意匠の数々の実物がご覧いただけるのは非常に貴重な機会。また、京都のお店やホテルのマッチだけを集めたパネルも今回あわせて送っていただきました。かつてこの街に存在した喫茶やグリル、ベーカリーなどのマッチには、長くこの街に暮らす人には馴染みぶかく懐かしいものもきっと含まれていることでしょう。ぜひじっくりご覧になってみてください。
神戸に生まれ、小学生の頃よりマッチ箱のイラストに魅せられ蒐集をはじめたという著者の小野さんは、マッチ箱・マッチラベル・関連資料を常設する私設の博物館「たるみ燐寸博物館」を2015年より営む、生粋のマッチ愛好家。その継続的な蒐集の履歴を一冊にまとめた本書と本展示は、移り変わりゆく街の記憶を残す小さな文化遺産としてのマッチの魅力と、蒐集することの楽しみ(そして、管理・保存することの大変さ…)をあらためて感じさせてくれます。ぜひ書籍を手に取って、「あの頃」の街とお店と人々の空気に触れてみてください。
当店の店頭・オンラインショップにて書籍をご購入のお客様には、先着特典としてマッチをプレゼント。かつて広告として機能していたマッチのスタイルを踏襲するように、本書と「たるみ燐寸博物館」を宣伝するオリジナルの特典です。この機会にぜひお求めください。
『マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス』(グラフィック社)
刊行記念 マッチ箱展
2019年6月15日 – 6月30日
恵文社一乗寺店 ギャラリーアンフェール 壁面一角にて
(テキスト:涌上 / 撮影:韓)
現在、書籍フロアでは写真家の奥山淳志さんによる『庭とエスキース』(みすず書房)の刊行を記念したオリジナルプリント展を開催中です。
関西出身の著者である奥山淳志さんは、1998年より岩手県雫石に移住し、東北の文化や風土、そこに生きる人々にフォーカスを当て、書籍や雑誌を通じて紹介してきた写真家。本書は、彼が東北に移り住んで以来、14年間にわたり日々通い、交流を続けた北海道の新十津川に暮らしたひとりの老人「弁造さん」の記憶を40点の写真と24篇の物語でたどった写文集です。
北海道の開拓時代の最後を経験し、その後の経済的な大きな発展にともなう時代の変化への違和感から、一家族が永続的に暮らしていける自給自足の生活を自ら実験的に作り出していくことを選んだ「弁造さん」。
北の大地の気候、風土との対話を繰りかえしながら自然とともに作り上げてきた庭、生活に必需なものだけを集めた小さな丸太小屋、そこに唯一置かれているイーゼルをはじめとする絵の道具。陽気で(可愛げすら感じさせる)ユーモアにあふれた人柄、ありありと語られる開拓時代の不思議なエピソード、作物を植え育て生きる実践的な日々から生まれた生活の思想、作品として完成することのないエスキース(下絵)の重なりと、繰り返し描かれる母娘のモチーフ…。
長い時間を生きてきたひとりの人間のなかにあるさまざまな時間と表情、その側面を、直接の会話はもとより何気ない行為やその表れ、写真家らしい解像度の臨場感を感じさせる美しい風景描写などを折り重ねながらひとつひとつ追想するように綴る著者の誠実な語り口は、「他者」と出会うこと、誰かを想うことの豊かさとその奥行きを、読む者の心身に浸透させるようにじっくりと伝えます。
書籍フロア壁面では、弁造さんと過ごした日々に撮影された写真から奥山さん自身が選んだ3点の作品(本書未掲載含む)のオリジナルプリントを展示中です。弁造さんの庭の象徴ともいえる青々と茂るメープルの木、繰り返し描かれたエスキース、そして雪原でにこやかに笑う弁造さんの肖像。
また、奥山さん自身が編み、2018年の写真協会賞新人賞を得ることにもなった写真集『弁造 Benzo』(http://benzo-book.atsushi-okuyama.com/benzo/)もあわせて展示しています。こちらは限定数発行の私家版をお借りしているため非売品となりますが、『庭とエスキース』に表現されたもの、弁造さんの庭とその人となりを捉えた写真家の視線をより直接的に感じていただける作品集です。ご来店の際はぜひ手に取ってご覧ください。
今週6月8日には、当店イベントスペース COTTAGE にて、奥山淳志さんをお招きしてのトーク&スライドショーも開催いたします。時系列に語られることなく、小さなエピソードから波紋のように広がる交流、人となり、場所の記憶。被写体と撮影者との距離、人と自然との距離、過去と現在との距離、わたしと他者とのあいだにある距離。そのままならなさや分からなさに向き合いながら、生きることや老いることの実感を14年の歳月のなかで受け取った奥山さんが語る「弁造さん」の物語。
現在は岩手在住の奥山さんですが、大阪生まれで奈良育ち、京都で学生時代を過ごされた関西にも所縁の深い方です。京都で話される貴重な機会ですので、ぜひ奮ってご参加ください。
奥山淳志『庭とエスキース』 (みすず書房)
刊行記念オリジナルプリント展
2019年5月22日-6月11日
恵文社一乗寺店 書籍フロアにて
■『庭とエスキース』奥山淳志(みすず書房)
(テキスト:涌上 / 撮影:韓)